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旧田中家住宅は大正時代に建設された県下有数の本格的洋風住宅です。大正10年(1921)に上棟し大正12年(1923)に竣工した木造煉瓦造三階建の洋館(1)と、昭和9年(1934)に増築された和館(2)の他、文庫蔵(3)、茶室(4)、池泉回遊式庭園(5)、煉瓦塀(6)により構成されています。
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洋館 |
壁に化粧用煉瓦を貼り、デザイン性に優れた外観を呈する本格的洋風住宅です。迎賓のための建物として建設されました。
正面玄関には帳場と神棚を設け、商家としてのスタイルを残し、二階には洋間の書斎と座敷を設け、洋風を基調としながらも、一部に和風を取り入れたつくりとなっています。
三階は南側に大広間を設けています。応接間は一階に配置するのが通常ですが、田中家では眺望を重視して三階に配置したものと思われます。
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和館 |
煉瓦は長方体をしており、積み方にはいくつかの様式があり、それぞれの積み方が発達した国の名をとってイギリス積み、フランス積み、アメリカ積みなどがあります。
日本では幕末から明治初年に欧米からこれらの様式が伝わり、建築技術ではイギリス積みが、土木技術ではフランス積みが主に用いられました。
旧田中家住宅に用いられたイギリス積みは、長手ばかりの段と小口だけの段を交互に重ねます。堅実で合理的な積み方です。 |
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庭園 |
昭和48年(1973)の改修工事で、味噌醸造蔵の跡地に造営された本格的な池泉回遊式日本庭園です。和館や茶室から眺められるよう配慮されており、池、枯山水、洲浜、灯篭、手水鉢などを配し、建物の重厚さをさらに際立たせています。
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